くつろぐ「フィンランド式サウナ」と、ととのう「日本のサウナ」の違いとは?
フィンランド式サウナと
日本のサウナを徹底比較!
近年のサウナブームと共に「ととのう」という言葉をよく聞くようになりました。「ととのう」とは、サウナ、水風呂、外気浴や休憩という温冷刺激を繰り返すことによって脳が恍惚状態となり、深いリラックス感や快感を感じる状態を指します。
「ととのってスッキリする」と今流行りのサウナですが、最近では、サウナ発祥地であるフィンランドスタイルのサウナも人気となっています。もともとフィンランド式のサウナは、くつろいで心と体を癒すことを目的としており、ととのう「日本のサウナ」と異なる要素がいくつかあります。
そこで今回は、「フィンランド式サウナ」と「日本のサウナ」の違いについてお伝えします。
いまサウナって人気らしいけど
「ととのう」ってなに?
ママもよくわからないけど…
恍惚感?
こうこつかん…ってなに?
「フィンランド式サウナ」と
「日本のサウナ」ってどう違うの?
「くつろぐ」フィンランド式サウナと「ととのう」と言われる日本式サウナには、どのような違いがあるのでしょうか。まずは両方の特徴をまとめました。
「ととのう」日本のサウナ
- サウナ室は、高温で乾燥している
- 照明が明るく、テレビや時計が置いてあることが多い
- 時間を決めて入る
- 体の表面からじりじりと温めるのが主流
- サウナの後に水風呂や水シャワーを使う
「くつろぐ」フィンランド式サウナ
- サウナ室は、低温多湿である
- 照明は暗く、静かである
- 時間を気にせず入ることが一般的で、時計もないことも多い
- じっくり体の芯から温めるのが主流
- 水風呂が置いてないこともある
- ロウリュとヴィヒタを楽しめる
また、入り方の違いとして、フィンランドではリラックスしてくつろぐことを目的とするのに対し、日本サウナでは辛い状態を耐えた後の開放感を楽しむ傾向があります。
健康に良い効果とされるサウナですが、サウナに慣れていない人や、心臓などに基礎疾患がある人は注意が必要なこともあります。
特に乾式サウナは長時間入ることで、血液の水分が失われて脱水症状や低血圧状態になり、心筋梗塞などの症状が発生することがあります。無理をせず、気分が悪くなったらすぐに出ることや短時間で切り上げることなどを意識しながら適度に楽しむのがおすすめです。
フィンランド式サウナとは?
サウナの起源はフィンランドと言われています。「SAUNA」という言葉もフィンランド語です。
フィンランドはヨーロッパ北東部に位置し、北欧として知られています。日照時間が短く、寒さが厳しい冬を乗り越えるために、フィンランド式サウナは発展してきました。
基本的に、フィンランド式サウナは、じっくり身体を温めたあとに、外気浴でクールダウン、その後に、シャワーで汗を流して再びサウナに戻る、という流れを繰り返してサウナを楽しむのが一般的です。
ここでは、フィンランド式サウナのスタイルについて、4つの項目で紹介します。
1)フィンランド式サウナには、「ととのう」を表すものがない
フィンランド式サウナは、寒い冬に身体をじっくり温めて癒す目的で生まれました。一方で、日本では、熱いサウナと水風呂に交互に入り、「ととのう」快感を得ることを目的にしている人が多いです。
近頃サウナーの間で、当たり前のように使われる「ととのう」ですが、本場フィンランドは、このような快感を求めて入るものではなく、「ととのう」に代替する言葉もありません。
水風呂がない施設もありますし、外気浴をしないでサウナにじっくり入って終わり、という方もいます。フィンランドと日本では、サウナの歴史や文化が異なることから、楽しみ方のスタイルが違うのです。
2)サウナは時間を忘れてリラックスする場所
フィンランド人にとって、サウナは時間を忘れてくつろぐ場所です。日本のように高温でドライなサウナとは異なり、フィンランド式サウナは、低温多湿であることが多いです。
温度が低いため、長時間じっくりと身体の芯から温まることができます。室内は薄暗く静かな環境が基本であり、日本の施設のように明るくテレビが設置されていることは少ないです。くつろいでリラックスすることが目的であり、時計を置いていないことも多いです。
サウナを出るタイミングは、その日の体調や気分などで決まります。
3)ロウリュとヴィヒタを楽しむ
フィンランドでは、サウナといえば「ロウリュ」と「ヴィヒタ」が欠かせません。サウナストーンに水をかけて温度と湿度を上げるロウリュは、日本のサウナ施設でも多く取り入れられるようになりました。
ロウリュとは
ロウリュは、高音に熱したサウナストーンに水をかけて蒸気を発生させることです。リラックス効果のあるアロマ水を使用することもあります。
熱い蒸気がじゅわっと発生してサウナルーム全体に広がり、快適な環境になります。室内の温度と湿度が急上昇するため、体感温度も上昇し、発汗を促進します。蒸気を全身に浴びたりしながら、心地よさを味わうことができます。
ヴィヒタとは
ヴィヒタとは、白樺の若葉の枝を束ねたもので、フィンランド式サウナには欠かせない道具です。サウナ内に置くだけで、白樺の香りが広がり、森林浴のようなリラックス効果を得られます。
また、ヴィヒタで全身を叩く「ウィスキング」という健康法もあり、これにより血行や発汗が促進されます。白樺の若葉には、ミネラルやタンニンなどが豊富に含まれており、肌の保湿や毛穴の引き締め効果も期待できます。
4)ガーデンハウスやサウナ小屋など、
プライベートサウナが当たり前
フィンランドでは、サウナは生活の一部であり、多くの家庭にはサウナが設置されています。日本におけるお風呂のように、フィンランドの暮らしにはサウナが当たり前の存在なのです。
サウナはコミュニケーションの場としても重視されており、家族で楽しむだけでなく、友人を招いて利用することもあります。
基本的には、サウナストーブやサウナストーンといった公共施設のサウナと同様の設備が一般家庭のサウナにも備わっており、ロウリュウを楽しむこともできます。
日本でも、北欧のスタイルを取り入れたガーデンハウスやミニログハウス、サウナ小屋を販売するメーカーもあり、自宅でサウナを楽しむ人も増えてきています。
日本のサウナの「ととのう」ってどんな状態?
フィンランド式サウナには、「ととのう」に替わる言葉はないと述べましたが、この「ととのう」とは一体どのような状態なのでしょうか。
一般的に、「ととのう」とは、サウナ、水風呂、外気浴という行為を繰り返すことで得られる快感のことを指します。人によっては、多幸感に包まれる、身体がふわふわと浮かんでいるみたい、頭がリセットされクリアになる、といった感覚を覚えるようです。
「ととのう」で得られる効果、また「ととのう」を行う上での注意点について解説します。
「ととのう」で得られる効果
「ととのう」には以下の効果が期待されています。
- 自律神経が整う
- 血行促進による疲労回復
- 良質の睡眠
- 肌荒れの改善・美肌効果
自律神経を整える
自律神経は交感神経と副交感神経から成り立っており、簡単に説明すると、交感神経は緊張したりストレスがあるときに臓器や器官などの運動を活発化させるもので、副交感神経は睡眠やリラックスしているときに、運動を抑制する役割を担っています。
普段、私たちは、これを上手く切り替えて生活していますが、ストレスや睡眠不足などで自律神経の働きが乱れると、心身ともに不調をきたすことがあります。
サウナや水風呂といった、日常とは違う環境に身体がさらされると、交感神経が優位になります。その後、外気浴(休憩)で落ち着いた状況になると、副交感神経が優位になります。この急激な変化が刺激となって、自律神経の働きが整うと言われています。
疲労回復・美肌効果
サウナの温冷効果で血管が開き、新しい血液が身体の隅々まで流れることで、疲労回復につながるとされています。肌荒れの改善・美肌効果血液は、身体に必要な酸素や栄養を運ぶ、大事な役割を持っており、これらが十分に行き渡ることで冷え性や肩こりなどの症状が緩和するためです。
また、血流が良くなることは、お肌の健康にもつながると言われています。血流が良いと、酸素や栄養が身体に十分に供給されるほか、老廃物を排出しやすくなり、お通じの改善が期待できるためです。
現在の生活環境では、空調が管理されていることにより、人の汗腺の働きが衰えているとも言われています。サウナで大量の汗をかくことで、老廃物を排出し、汗腺を鍛えて代謝を良くし、肌本来の機能を取り戻す効果も期待できます。
「ととのう」の注意点
「ととのう」には様々な効果が期待されますが、その一方で、注意すべき点もあります。それは無理をしないことです。
SNSなどで、「ととのう」ことがサウナの最大の楽しみ方であるかのように書かれているのを散見しますが、サウナに行ったら、必ず「ととのう」をしなければいけないわけではありません。
高温のサウナの直後に低温の水風呂に入ることは、血圧や自律神経に強い刺激を与える行為です。高齢の方や高血圧、心臓に疾患のある方には、負担が大きく危険な行為ともいえるでしょう。具合が悪くなったり、最悪の場合、命に関わる事態になる恐れがあります。
危険だからサウナや水風呂をやめるべき、というわけではなく、自分の体質や体調に合わせて活用することが大切です。健康な方でも、その日によって身体の状態は異なるはずです。
「ととのう」ことにこだわりすぎたり、作法を重視しすぎることをせず、自分にとって気持ちのいい楽しみ方を見つけていきましょう。
自宅サウナなら自由に
フィンランド式サウナを楽しめる
日本でも本場フィンランド式のサウナを体験できる施設が増えてきましたが、サウナファンの中では、自宅やセカンドハウスなどにプライベートサウナを設置する人も増えています。
自宅の浴室にサウナを設置するにはリフォーム工事が必要になりますが、お庭にサウナ専用のガーデンハウスやミニログハウスを建てるなら、比較的簡単にプライベートサウナを実現できます。
特に今人気なのが、本場フィンランドのサウナ環境を作れる、ログハウスのサウナ小屋です。
ログハウスメーカーでは、本場フィンランドのログ材やサウナ設備をセットにしたミニログハウスのキットも販売しています。
設置・施工もしてくれますが、ミニログキットならマニュアル通りに作れば比較的簡単に建てられるので、DIYが好きな人ならセルフビルドも楽しめます。
自宅で「おうちサウナ」を実現したい方は、まずは、地元の施工会社やログハウスメーカーの正規販売店に相談してみましょう。
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まとめ
フィンランド式サウナには、日本式サウナとは異なる作法や楽しみ方があります。
フィンランド式サウナが体験できる施設が増えたことで、サウナが「汗をかいてスッキリする場所」や「我慢してコンディションを整える場所」というイメージから、「リラックスできる場所」「会話しながらくつろぐ場所」というイメージに広がりを見せているのではないでしょうか。
また、サウナは健康に良い面をもたらしますが、一方で危険がともなうこともあります。無理せず、一人サウナや、友達やサウナー仲間、家族で楽しめるサウナを堪能しましょう。