「寒冷地仕様の家ってどんな家?」 寒い地域での設計、間取り、設備の注意点
寒冷地で家を建てる場合の注意点
長野県って全体的に標高が高いけど
やっぱりその分、他の地域より寒いってことだよね?
そうだね。だから家の作りも設備も、
寒冷地仕様がいいんだって。
寒さ対策は、結果的に
夏の暑さ対策や省エネ対策にもなるんだよ。
おー!快適なうえに節約!
いいねー。
長野県の家は寒冷地仕様?
平均標高は1,132mと県全域の標高が高く、平均気温も全体的に低い長野県。冬はマイナス10度を下回るところもあり、山沿いの地域ではマイナス20度を超える厳しい寒さになることもあります。
そんな寒冷地域である長野県での家づくりには、「寒冷地仕様」を意識する必要があります。高気密・高断熱な構造や、寒冷地に合った施工や設計・設備を取り入れることで、快適な暮らしと省エネを実現できます。
ここでは寒冷地仕様の家づくりを、2つのポイントにまとめました。
省エネで快適!
「寒冷地仕様の家」ってどんな家?
寒さが厳しい寒冷地でも安心して暮らせる「快適で省エネな家」は、大きく分けて2つのポイントに注目して考えると後悔が少なくなります。
ポイント1)高気密・高断熱の住宅であること
ポイント2)寒冷地に合った施工や設計・設備を取り入れていること
【ポイント1】高気密・高断熱の住宅
高気密・高断熱の家は、冬の寒さ対策になるだけではなく、夏の外の暑さも遮るため、一年中快適に過ごすことができます。冷暖房の効率も上がるため、夏冬通して節電につながります。
近年の新築住宅は、高気密・高断熱をうたっている家がほとんどですが、その性能は使う資材や施工によって大きな違いが出てきます。断熱材やサッシなどの資材の品質や使い方は、建築費にも大きな影響を与えるので、ライフスタイルや土地の環境に合わせて性能レベルを考えることが大切です。
1)断熱性能の向上
断熱材
壁、天井、床などに断熱材を入れ、外の寒気を遮断します。断熱材の種類によっても断熱性能が違うので、寒さが厳しい地域では断熱性能の高い断熱材を使用したり、断熱材の厚みを従来より厚くすることで、さらに断熱性能を上げることもあります。
断熱性能の高いサッシや玄関ドア
窓や玄関といった開口部は、もっとも外の寒気が伝わりやすく、室内の熱が逃げやすい場所です。熱の遮断効果の高い、ガラスが2重、3重になっているペアガラスやトリプルガラス、Low-Eガラスや複層Low-Eガラスなど高性能なサッシや玄関ドアを取り入れることで、熱の損失を最小限に抑えます。
また、従来のアルミサッシは断熱性能が低く、冷えて結露しやすいため、樹脂サッシや樹脂複合サッシなど、断熱性の高いサッシを採用します。
2)気密性の向上
隙間のない施工
壁や天井、サッシと壁のなどの接合部に隙間ができないように、気密テープやパッキン、シーリング材で埋めて気密性を高めます。
気密性の高い家は外の寒気が室内に入りにくくし、室内の暖かい空気を外へ逃がさないため、室内が暖かく、暖房効率もアップします。
気密性能の高いサッシや玄関ドア
断熱性能と共に重要な機密性ですが、断熱性能の高いサッシや玄関ドアなどの資材は、同時に気密性能も保たれているため、隙間のない施工をしっかりすることで、大きく暖房性能を向上させることができます。
3)24時間換気システムの導入
24時間換気システムの導入は現在義務化されています。気密性の高い家の場合、屋内の空気は自然に換気されないため、換気システムによって一定量の空気を自動的に入れ替えることが必要です。汚れた空気や有害物質を排出し、室内の空気を常にきれいな状態に保つことは、シックハウス症候群やアレルギーの発症リスクを抑えることができ、また結露やカビの発生を抑えます。
室内で灯油を燃焼するタイプの暖房を使っている場合は、定期的に窓を開けて換気をする必要がありますが、換気システムがあれば、窓を開けて一気に冷たい空気が室内に入ってしまうこともなく、新鮮な空気に常に循環されます。
【ポイント2】寒冷地に合った施工や設計・設備
高気密・高断熱の施工とともに、寒冷地では寒さ対策のための設計・施工・設備も考える必要があります。
1)外壁の施工
外壁材
より断熱性能の高い外壁材を使用することで、さらに冷たい外気を遮断します。
外壁の通気層
冬は外気と室内での温度差が大きいため、壁内にも結露が多く発生しやすくなります。外壁と断熱材の間に通気層を設けることで結露を防ぎ、建物の内部からの劣化を防ぐことができます。
2)基礎の施工
寒冷地では、地盤の凍結により基礎が破損する可能性があります。これを防ぐには、凍結深度より深い位置に基礎を設置する必要があります。凍結深度とは地面が凍結する深さのことで、地域ごとに深さが定められています。
凍結深度の低い寒冷地域では、通常より地面を掘ってコンクリートの施工をしなければならないため、地元の状況を知っている業者に、設計・施工を依頼すると安心です。
3)屋根の施工
・屋根の構造と形状
一般的には、屋根に雪が積もることを防ぐために、屋根の勾配を大きくしたり、切妻屋根、片流れ屋根を採用して落雪場所を特定できるようにします。落雪場所を特定することによって、落雪による事故防止や室外機などの機器の故障を防ぐことができます。
ただし豪雪地域では、最近では屋根から落ちた雪の処理が大変なため、雪を落とさないための施工も増えています。
積もった雪を太陽熱などで溶かしてダクトに流すフラット屋根や、屋根に電熱線や配管を通して熱で雪を溶かす融雪型の屋根などがあり、雪の多い地域では事故防止や隣家への配慮のために、これらの屋根の設置を考える必要があります。
・屋根材の選定
雪の重みや凍結に耐えられるような、耐久性の高い屋根材なら安心です。
寒冷地では多くが金属系の屋根が使われており、雪どけ水や雨水が入り込みにくく、また軽量なので家にかかる負担も少なくなります。
4)暖房設備の選定
寒冷地での暖房設備の選定は特に重要です。冬の暮らしの快適さに直接関わるだけではなく、住宅全体の断熱性能と併せて考えることで、長期的なランニングコストを抑えることにもつながります。
セントラルヒーティングや床暖房
ボイラーで作った熱を家全体に回すセントラルヒーティングのパネルヒーターや床暖房などは、家中の温度差がなく快適に暮らせます。ただし建築時に配管などの設置が必要なため、建築費用が高くなるのがデメリット。
灯油やガスを使ったエネルギー効率の高い暖房機器なら、ランニングコストを抑えることができます。
エアコン
氷点下になる地域では、通常のエアコンでは室内を温めるパワーが足りません。エアコンを冬季に使いたい場合は、寒冷地仕様のエアコンが必要になります。気密性能、断熱性能の低い家の場合では、電気を使うエアコンは暖房効率的にもランニングコスト的にも、あまりおすすめできません。
灯油やガスの暖房器具
寒冷地ではやはり、熱効率を考えるとガスや灯油を使った暖房機器を使うことが多いです。持ち運びができる石油ファンヒーターやストーブは、建築時に設置する必要もなく気軽に使えますが、結露の原因となったり、定期的な換気が必要になります。
後から設置工事も可能な、燃焼の際の排気を外へ排出するタイプのFF式石油ファンヒータや、外で燃焼して室内に温風を送るオイルヒーターは、室内の空気を汚さず、結露も起きにくいので、のどの弱い方、小さな子どもやお年寄りのいる家庭ではおすすめです。
また、昔ながらの煙突を設置するタイプの石油ストーブは、室内の空気を汚さず、素早く暖を取ることができるため、寒さの厳しい地域ではとても助かります。
移住者に人気の薪ストーブは、薪の入手や手入れに手間暇はかかりますが、家中が暖まり、電気が止まっても使えるので、停電や災害時も安心です。
5)間取り
玄関からの冷気の侵入を防ぐ
寒冷地では、外の冷気ができるだけ室内に入らないような間取りを考えることも、暖かさを保つために重要です。
例えば、人の出入りのたびに外気が入り込む玄関には内扉をつけたり、玄関からの冷気が直接入らない位置にリビングを設置するなど、室内の温度が下がらないような間取りを考えます。
また、寒冷地でよく見かける「風除室」の設置も有効です。「風除室」とは、玄関ドアの外側にサンルームのようにガラスや壁で囲って作った小さなスペースのことで、外からの冷気や雪が直接玄関から入り込むのを防ぎます。
吹き抜けやリビング階段について
また、吹き抜けやリビング階段は暖かい空気が上に流れてしまうため、1階が寒くなりがちです。もし吹き抜けを作る場合は、シーリングファンをつけて暖かい空気が下へ循環するようにするなどの対策が必要です。
ただし、薪ストーブなどの暖房効率の高い器具を使用する場合は、吹き抜けやリビング階段から1階で温まった空気が2階にも効率よく流れるため、逆に家中が暖まって快適に過ごせることもあります。
6)寒冷地仕様の給湯設備の設置
氷点下を下回る寒冷地では、凍結防止や安定した温水の供給のために、寒冷地仕様の機器の設置や施工が必要となります。
水道の凍結防止対策
外に水道の配管がある古い家では、今でも配管にヒーターを巻きつけて凍結を防ぐ凍結防止ヒーターの設置を行ったり、水道管内の水抜きが必要です。
現在の新築住宅では、配管を地下に通したり、給湯やヒーターの配管をセットで施工することで凍結することは少なくなりました。
とはいえ、寒さが厳しい寒冷地や雪の多い豪雪地域では、さらに地域に合った対策が必要となります。
寒冷地仕様の給湯設備の設置
現在住宅に利用されている、ガスや灯油の給湯器、電気給湯器の設置でも、寒さの厳しい寒冷地では注意が必要です。省エネ性能の高いエコキュートやエネファームを導入する際も、寒冷地仕様の機器を選択すると安心です。
省エネ性能の高い給湯器や暖房機器の設置には補助金が出ることもあるので、地元の認定された施工会社に確認してみましょう。
またエアコンの室外機や、暖房や給湯器の燃焼機器を屋外に設置する場合は、特に激しく雪や氷が落ちる場所や、雪に埋もれる場所を避けるなどの配慮も必要です。
まとめ:安心でいやされる家であり続けるために
寒冷地での冬の寒さ対策は、いかに快適に安全に、そしてランニングコストを抑えて暮らせるかを左右するので、家づくりではとても重要です。
とはいうものの、家の断熱性能、給湯・暖房設備などを寒冷地仕様にすることは、新築やリフォームをする際、コストが割高になってしまうのも事実。
大切なのは、地元の気候をよく知り、自分のライフスタイルと地域の環境に合った寒さ対策を取り入れるということです。そこでは目先の価格だけに振り回されず、長期的な視点で考えることも大事になります。
家族にとって安心でいやされる家であり続けるために、ぜひ地元の気候をよく知っている施工会社にご相談ください。
【長野県への移住を考えている方へ】
信州・長野県での暮らしと家づくり
長野県の冬の気候を知る
県全域の標高が高く、平均標高は1,132mと都道府県別で最も高い長野県。そのため平均気温も全体的に低く、長野県は寒冷地域と言われています。特に県の北部は豪雪地域の指定を受けている地域もあります。
長野県の年平均気温は、長野市で12度前後、佐久市は10度前後、避暑地で有名な軽井沢町は年間平均気温9度前後。
冬はマイナス10度を下回ることもあり、山沿いの地域ではマイナス20度を超える厳しい寒さになることもあります。
長野県の東端、軽井沢町から佐久市、小諸市、上田市といった東信と呼ばれる地域では、寒さが厳しいことがあるものの、雪は少なめ。夏は冷涼で過ごしやすいため、首都県からの移住者から人気の地域でもあります。
地下の気候や風土を理解し
その土地に合った家づくりや暮らしを考える
寒冷地域である長野県で新築住宅を建てる場合は、寒さや雪に強い部材の採用や、高気密・高断熱な構造、寒冷地仕様の設備を設置することが、快適で省エネな暮らしを実現させるポイントとなります。
県外から移住して家を建てる場合は、まずは地元をよく知る、信頼できる施工会社に相談してみることをおすすめします。
また、地元の気候や暮らしを実感するために、夏や秋などの気持ちのいいシーズンだけではなく、寒さが厳しい1〜2月にも実際に滞在してみることも大切です。
田舎暮らしに憧れて移住したはいいけど、冬の寒さや暮らしが耐えきれずに再引っ越しした、という話も少なくありません。特に冬の雪かきや車の運転、買い物の不便さなども、移住後に後悔する要因になります。
逆に、美しい冬景色やキリッと気持ちのいい空気感、ウィンタースポーツなど、冬ならではの楽しみを味わえるのも、信州に暮らすことのメリットでもあります。地方移住を考えている方は、ぜひ信州の冬の楽しみも見つけてみてくださいね。
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