【薪ストーブで後悔しないために】事前チェック!薪ストーブの注意点。

薪ストーブの問題点と対策

心癒される炎とその存在感が魅力的な薪ストーブ。薪の入手のしやすさや敷地が広いなどの周辺環境から、田舎暮らしをしたい人や地方移住者、別荘を所有する人を中心に人気が高まっています。

とはいうものの、薪ストーブは使い勝手や労力、機能、コストも一般的な暖房器具とは大きく異なります。単なる憧れだけで設置すると、あとで後悔してしまうことにもなりかねません。

そこで、薪ストーブを安全面や経済面、最適な周辺環境など、設置するための注意点をまとめました。

ミコちゃん

薪ストーブって、
いろいろ大変なこともあるみたいだけど、
やっぱりあこがれちゃうよねー

ミツオくん

そうだね。でも、
あらかじめ対策や予算を考えておけば安心だよね。

1)安全に使用するための対策

薪ストーブは火を扱う暖房器具であり、その使用には危険が伴います。火災を防ぐためには、正しい設置だけでなく、普段から使い方に注意する必要があります。

薪ストーブの設置には、建築基準法と消防法の火災予防条例により、部屋の内装材や煙突、換気口などの基準が定められています。基準が細かく、さらに火災予防条例は地域ごとに異なるため、知識のある専門家に相談するのが安心です。

薪ストーブでよくある火災事故の原因には、主に以下の2点が挙げられます。

・壁や柱の低温炭化

・煙道内火災

低温炭化とは

低温炭化は、壁や天井内部の木材が長期間加熱されて極度に乾燥した炭の状態となり、発火する現象です。木材の発火点は通常約400℃ですが、炭化が進んだ木材では100℃程度の熱でも発火する可能性があります。

薪ストーブ本体との距離が近いほど熱の影響を受けるため、設置時には可燃物から十分な距離を保つか、遮熱材を挟む必要があります。

また、古い煙突では、気付かぬうちに壁や天井の貫通部分が炭化する可能性があるため、設置状況を確認しておきましょう。

煙道内火災とは

煙道内火災とは、煙突内部に付着したすすやタールに引火し、煙突内部で猛烈な勢いで燃えてしまう現象です。時には1000℃近くまで高音になり、炎が吹きだしたり、周りの物に引火して火災を引き起こします。煙道内火災を防ぐには、普段の薪の使い方や煙突掃除が重要になります。

薪ストーブに使用する薪は、十分に乾燥させてから使用します。乾燥しきっていない薪を使うとタールが発生しやすく、煙突内に蓄積されるためです。薪が十分に乾燥していれば、燃焼で発生する煙や臭いも少なく済みます。

また、定期的な煙突掃除も必要です。時期を決めて、シーズンに一度は掃除することを心がけましょう。

その他の安全対策

火災予防だけでなく、小さい子供やペットがいる場合は、やけど対策も考慮が必要です。機種によっては本体に触れても安全なものもありますが、それでも天板やガラス面は高温になるものがほとんどです。近づかないように注意し、柵で囲むなどの対策をしておくべきです。

また周辺には、燃えやすいもの、踏み台になるもの、倒れやすいものは置かないように注意しましょう。

2)快適性のための対策

薪ストーブを導入する際には、実際に使用する時の快適性も重要になります。

本体の暖房効率や性能だけでなく、建物の間取りや設置場所も確認しておく必要があります。特に、間取りや設置場所は、使い始めてからの変更が難しいため、事前に検討して後悔しないようにしましょう

薪ストーブの暖房効率や性能について

薪ストーブには、大きく分けて「輻射式」と「対流式」があります。

輻射式

輻射式は、薪ストーブ本体が炎によって高温になり、そこから発する遠赤外線(輻射熱)で

部屋を暖める方法です。これは、太陽が身体を暖める仕組みと同様で、ぽかぽかとした心地よい暖かさが特徴です。

早く暖まりますが、あくまで遠赤外線という光で暖めるため、壁や家具など障害物が多いと効率が低下し、部屋全体が暖まりにくくなります。広くスペースを取るなど間取りを気にする必要があります。

対流式

一方、対流式は、薪ストーブ本体が二重構造になっており、部屋の空気を取り込んで中を通った空気が暖められて放出します。

時間はかかりますが、空気が循環するため部屋全体を均一に暖めることができます。空気を撹拌するシーリングファンと相性が良く、吹き抜けの部屋を暖めたい場合に適しています。

二つの他、輻射式と対流式の機能を併せ持つ薪ストーブもあります。

さらに、暖まるまでの効率や範囲は本体の材質などでも変化します。価格だけでなく、目的や設置する部屋に合わせて判断すると良いでしょう。

建物の間取りや設置場所について

薪ストーブを設置する際には、建物の間取りや設置場所の配慮も重要です。

薪ストーブの設置場所は、壁から一定の距離を開けるなど基準がありますが、これに加えて、どのように部屋を暖めたいか、暖める角度や空気の動線なども考慮する必要があります。

基本的には障害物が少ない方が良く、部屋の中央に設置して周囲に遮るものがない状態が理想的ですが、広い別荘でもない限り、それを実現するのは難しいでしょう。通常はリビングに置くことが多く、そうなると薪ストーブの背面が見える状態で生活することにもなり、あまり現実的ではないですね。

壁の中央に置いて、周囲に十分なスペースを確保することが一般的ですが、部屋が狭い場合は、角に設置することでより効率的に暖まることもあります。また、空気の流れを考慮し、冷気が入りやすい場所に設置する、といった工夫も大事です。

さらに、煙突の配置にも気を付けましょう。

煙突の配置が不適切だと、排煙がうまく行われなかったり、メンテナンスが難しくなる可能性があります。1階に薪ストーブを置く場合は、真っすぐ煙突を伸ばせるように2階の部屋の間取りを工夫することも重要です。

薪の保管スペースの確保も大事です。薪を乾燥させたまま保管するには、雨が当たらない風通しが良い場所が最適です。専用の薪小屋を設けることも検討してみてください。

3)薪ストーブにかかる費用

薪ストーブを導入する際には、費用についても事前に考慮しておきましょう。

初期費用・メンテナンス費用

薪ストーブは本体価格や設置費用など、一般的な暖房器具に比べてかなり初期費用が高くなることが多いです。

欧米メーカーの製品であれば、本体価格だけでも30万〜100万円ほどかかります。このほかに、煙突や炉台などの部材費用と設置工事費用が追加でかかるため、全体の費用は最低でも70万円以上見込んでおくべきです。

また、安全性と快適性を保持するためには、メンテナンスはかかせません。シーズンの始まる前には、煙突の掃除と、ストーブ本体や煙突、設置個所周辺のメンテナンスも定期的に行う必要があります。

自分で掃除やメンテナンスを行うことも可能ですが、業者に頼むと煙突掃除やストーブのメンテナンスには毎回1~3万円。その他、交換する部品代がかかります。

薪代

初期費用だけでなく、ランニングコストも忘れてはいけません。

薪ストーブは、1シーズンで大量の薪を使用します。使用時間にもよりますが、カットされた薪を購入すれば月3〜5万円ほどかかります。ただし、薪の調達方法によってはコストを抑えることができます。

例えば、地域によっては森林や河川敷整備や街路樹伐採で出た木材は通常処分にお金がかかるため、無料で配布している場合があります。地域の整備局や地方自治体のサイトに伐採や配布情報が掲載されていることもありますので、積極的に確認してみましょう。

また、地域の愛好家グループや薪イベントへの参加、薪ストーブを所有している近隣の方に相談するなど、十分な薪を確保するために日ごろから情報収集することも大事です。

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4)近所トラブルについて

薪ストーブの使用で、煙突から発生する煙や臭いが近所トラブルの原因となることがあります。トラブルを未然に防ぐためにも、適切な対策をしておくことが大切です。

薪ストーブは、焚きつけたときに白い煙と臭いを発生させます。十分に乾燥させた薪を使用すればその量は少なくなりますが、未乾燥の薪を使用すると発生量が増加します。薪は完全に乾燥させたものを使用するよう心がけましょう。

また、一度に多くの薪を焚くと、不完全燃焼になり黒い煙が発生します。様子を見ながら、適切な量の薪を使用し、完全燃焼できるように努めましょう。購入時に燃焼効率が高い機種を選択することで、さらに煙の発生を減らすことができます。

ご近所トラブルを防ぐために、薪を適切に使用し、不純物を多く含むものを燃やさないよう注意しましょう。また、薪ストーブを設置する前には、ご近所へ挨拶に行き、安全性について説明し、理解を得ることも大切です。

5)新築時にはあらかじめ相談しておく

新築の計画時に、薪ストーブを設置する予定がある場合は、設計士や建設業者に事前に相談しておきましょう。

薪ストーブで部屋を効率的に暖めるには、間取りが大きく影響します。初めから薪ストーブの設置を想定した間取りにしておくと、後々の手直しが少なく済みます。

また、薪ストーブはかなりの重量があり、一度設置した後の移動は難しいため、本体だけでなく、床の強度、煙突の配置なども含めて慎重に検討する必要があります。専門的な知識と経験がある業者に相談し、施工を依頼することが後悔を防ぐポイントです。

地方移住者にも人気の薪ストーブ

薪ストーブは薪を燃やすという特性上、都会の住宅地よりは自然に囲まれた田舎での生活に適しており、地方移住者や別荘所有者に人気があります。移住を検討する際に、薪ストーブの設置も視野に入れる方は多く、その逆に薪ストーブを導入したいから移住を考える方も増えています。

田舎では薪の調達が比較的容易なことも多く、森林組合や近隣の農家から手に入れることができるケースがあります。地元で薪ストーブを利用している人々からの情報共有もしやすく、薪の入手方法や注意点などを学びやすい環境が整っています。

また、田舎ではご近所同士の繋がりが重要ですので、煙や臭いに対する配慮が求められますが、同時に住宅同士の距離が広いため、トラブルの発生が少ないというメリットもあります。

最近では、地方自治体が移住者に対する様々な支援制度を提供しており、田舎暮らしを応援する動きが広がっています。移住を検討する場合には、地元の情報や支援サービスを積極的に活用することがおすすめです。

まとめ

薪ストーブを設置するために、事前に注意すべき主なポイントをまとめました。

安全性の確保と使用上の注意

薪ストーブは火を扱うため、適切な安全対策が不可欠です。設置だけでなく、普段の使い方にも気を付けましょう。子供やペットがいる場合にはやけど対策も怠らないようにしましょう。

快適性の対策

薪ストーブには輻射式や対流式などがあり、暖房効率や性能が異なります。価格だけでなく、自身の暖房ニーズや部屋の配置に合わせて適切な機種を選ぶことが重要です。また間取りや空気の流れを考慮して設置場所を検討しましょう。

薪ストーブの費用

薪ストーブの導入には本体価格だけでなく、煙突や炉台、設置工事費用など初期費用がかかります。全体の費用を把握し、薪の調達方法によるランニングコストも考慮して計画を立てましょう。

ご近所への配慮

薪ストーブの使用によって発生する煙や臭いは、近隣トラブルの原因になります。正しく使い、ご近所への挨拶や説明を行い、トラブルを未然に防ぐよう心がけましょう。

専門家との相談

薪ストーブと部屋の間取りは大きく関わるため、新築時には、事前に相談することが大事です。また薪ストーブの設置には、建築基準法やその地域の火災予防条例を熟知している必要があります。そのため、地方移住先の住宅に設置する際には、薪ストーブに詳しい地元の建設業者に依頼することをおすすめします。

確認事項をチェックして、計画的にアプローチすることが後悔のない薪ストーブライフの実現につながります。

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